乳がんのリスクを高める要因は前回の記事(乳がんと授乳(母乳育児)について考える。乳がんの原因(要因)に女性ホルモンの影響)に書きましたが、日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインでは乳がんのリスクを減少させる要因も考察されています。
乳製品、イソフラボン、緑茶の効果などはたまに耳にすることがありますが、現段階のエビデンスグレード(*1)は「可能性あり」「証拠不十分」だということです。
*1 エビデンスグレード
「確実」・・発癌リスクに関連することが、確実であると判断できる十分な根拠があり、予防行動を取ることが勧められる。
「ほぼ確実」・・発癌リスクに関連することが、ほぼ確実であると判断できる十分な根拠があり、予防行動を取ることが一般的に勧められる。
「可能性あり」・・ 「確実」「ほぼ確実」とは判断できないが、発癌リスクとの関連性を示唆する根拠がある。
「証拠不十分」・・ データが不十分であり、発癌リスクとの関連性について結論付けることができない。
要 因 | エビデンスグレード | ||
乳製品の摂取は乳癌発症リスクを減少させるか | 可能性あり | ||
緑茶の摂取は乳癌発症リスクを減少させるか | 証拠不十分 | ||
大豆、イソフラボンの摂取は乳癌発症リスクを減少させるか | 可能性あり | ||
乳癌発症リスクを減少させるためにサプリメントを服用することは勧められるか | 証拠不十分 | ||
閉経後の運動は乳癌発症リスクを減少させるか | ほぼ確実 | ||
閉経前の運動は乳癌発症リスクを減少させるか | 証拠不十分 | ||
卵巣嚢腫は乳癌発症リスクの減少に関連する可能性があるか | 可能性あり |
閉経後の運動が「ほぼ確実」でその他はまだ確実ではないんですね。
ここで注目したいのはイソフラボン。
前回の記事で、乳がんの発症の要因の一つに女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌量が関係していることはわかっていて、エストロゲンの分泌量が多い時期が長く続くほど、その影響を受けてがん発生のリスクが高まると書きました。
イソフラボンは女性ホルモンのバランスを保つ作用があると聞いたことがあります。エストロゲンを助ける効果があると・・あれ??エストロゲンは増やしちゃいけないんじゃ、と疑問に思い調べてみました。
大豆イソフラボンは、植物性食品の色素や香り、苦味、辛味などの成分である「フィトケミカル」の一種で、主に大豆の胚芽に多く含まれています。女性ホルモ ンであるエストロゲンに化学構造が似ているため、植物性エストロゲンとも呼ばれます。イソフラボンがエストロゲン受容体に結合することでエストロゲンの作 用を促進し、エストロゲン依存性乳がんのリスクを高めると懸念される一方、イソフラボンがエストロゲン作用を邪魔することで乳がん予防につながることも示 唆されています
参考)The Huffington Post Japan より
http://www.huffingtonpost.jp/robust-health/story_b_5426105.html
なるほど・・上記のサイトの結論としては予防につながるという根拠のほうが信憑性が高いと書かれています。ただし気を付けたいことが一つ、サプリメントを使ったイソフラボンの摂取は推奨されていないようです。
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Q)大豆食品やイソフラボンを摂取することは乳がんの発症に関連がありますか。
A)大豆食品やイソフラボンの摂取で乳がん発症リスクが低くなる可能性があります。しかし,イソフラボンをサプリメントとして服用することで乳がん発症 リスクが低くなることは証明されておらず,安全性も証明されていません。イソフラボンは通常の大豆食品からの摂取を心がけましょう。
参考)日本乳癌学会より
http://jbcsfpguideline.jp/category1/q001/#a_1-3
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イソフラボンは味噌や醤油、納豆にふくまれているということです!
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